ぼくのなつやすみ


数十年前の夏休み。野球だったのかゲーセンだったのか、何かしらの帰り道。
突然の夕立に打たれ、原っぱ(ってわかります?)の隅にある災害支援物資置場の軒下で、ひとり雨宿りをしたことがありました。

倍速再生に動く暗雲に、轟音ざぁざぁの雨脚。
跳ね上げられた土の匂いがやたらと鼻についたのを良く覚えています。

しばらくしても雨はやまず、真夏だと言うのに恐ろしい寒さを感じました。

なんだ…この冷えは…? アセ
これは…知ってるぞ…異世界…か? アセアセ
ひょっとして…家に帰っても、お母さんは居ないのでは…!? タキアセー!!!

半べそで全力帰巣するわけですが、今であれば「前線にのまれたのかも」と思えるわけです。

私は、ほぼ中卒みたいな高卒でして、高校も4年がかりで卒業しています。
もちろん勉強など何もしていませんから、世の中の大体のことはわかりません。

しかし、娘たちと一緒に中学受験の勉強をしてみると、子供の頃に体験した不思議というのは、どんどん種が明かされていきます。
今では前線はおろか、「ねるねるねるね」を見ても「いわゆる紫キャベツの煮汁ですね」と達観することができるわけです。

ですから私は勉強が好きです。40代から始めても小学生の勉強には楽しいことばかりしかありません。

でも、それと言うのは、私に体験や経験があったからそう思えるのかもしれません。
「ねるねるねるね」の衝撃がなければ、「BTB液」なんてものは大して面白くもないはずなのです。

去年の夏。コロナに見舞われ、娘は色々な体験をするチャンスを失いました。
今年の夏はコロナを大義に、遅れていたカリキュラムを埋めることに割いてしまいました。

自分は楽しんで勉強しているのに、少し心苦しいです。
来年の夏も再来年の夏も、どうせやるのは机上の受験勉強です。
もはや娘には、原っぱでの恐怖体験という珠玉の時間が訪れないかもしれません。

いま事情で家を離れている娘と電話すると「いや~~~勉強の無い日々はサイコーだねぇ!」と言われてしまいました。
付き添っている母親からも「勉強が無くて思いのほか伸び伸びしているよ!」という追撃をくらいました。

実にマズイ感じがするのです…

連日の感染状況に、「最多最多ってチューリップかよ」なんてツイートに笑けておりましたが、
もうそろそろ落ち着いてもらって、埋め合わせにでも外遊びや行楽などをさせてもらいたいものであります。

もちろん組分けの成績が悪ければ、巣ごもりは継続なのでありますが。 アッタリメェヨ~!

巣ごもり
だって勉強かゲームしかやることがない

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